つるかめ助産院

題名INDEX : タ行 No Comments »
つるかめ助産院 (集英社文庫) つるかめ助産院 (集英社文庫)
小川 糸
集英社 2012-06-26
売り上げランキング : 5218

Amazonで詳しく見る

by G-Tools

小川糸著
「食堂かたつむり」「 喋喋喃喃」 に次いで3作目。 まだ小説は数冊しか書いていない作家さんだと思うけれど…まだ30代の若い作家さんだと思うけれど、最近の若い女性作家さんの露悪的な感情のひだを思い切りえぐってアイロンをかけて伸ばしてさぁどうだ?…なんていうえげつなさが全くないところがとても気に入っている。 ま、つまりこの3作に関しては…というところだけれど。 作家の業と言ってしまえばそれまでだけど、安心してこの作家はいい!と思っていると突然足元をすくわれることが…ままある。 毒はやはりある、避けて通れないという事なんだろうね。特に人間と人生とこの世を描こうとすればするだけ。
3冊目…この作家の作品にもただの甘さだけでないものが少し顔を出して来てはいる…なぁ…と思ったけれど。     「喋喋喃喃」は設定そのものがたぶん今の女性たちにとっては全くあり得る当たり前のことかもしれないけれど、設定そのものの苦さが私には難だったけれど、その設定の上でさえも甘さが勝っていてその甘さが少々腹立たしかった。 それでもこの作家の気分には柔らかさ温かさが充満している。 その居心地の良さが今のところ身上で、私はそこに得難さを感じている。
この作品はその設定の最初の苦さが…物語が進むにつれて…それは生きていくうえで当たり前に降りかかってくる類の苦さにすぎなくて…生きていればこういう日も、そういう日も、こういう人にも、そういう人にも巡り会って…それを素直に受け入れさえすれば…事態は好転もするし、前向きにもなれる…ということがお伽噺的な調味料をかけて提出されている…という感じで読んだ。 そう、生きていくにはこういうフェアリーチックな調味料は誰でも欲しいよね! そうそこがこの作品の最高の魅力なんだ。 一呼吸おいて前向きになれる手伝いをしてくれるのかもしれない。元の世界に戻った彼女の人生からは島にいた時のような魔法は消えてしまうだろうけれど…色々な人が色々なことを抱えてそれでも前向いて歩んでいるんだってところが彼女の心の芯に宿ったことは確かだよ…と満足して私は読み終えた。  で、アップしてから気が付いた。 「ファミリー・ツリー」を抹殺していた…記憶の中から? あらら…

ナニワ・モンスター

題名INDEX : ナ行 No Comments »
ナニワ・モンスター ナニワ・モンスター
海堂 尊新潮社 2011-04-21
売り上げランキング : 74450Amazonで詳しく見る

by G-Tools

naniwamonster.jpg

海堂尊著
海堂先生の作品が止まりません。 読み終わると(図書館からやっと届いたと思うと)次の作品が出ていて、また予約して数か月後、やっと読める。ということを繰り返していますが、「アリアドネの弾丸」の方が先なのに…TVドラマになったせいですか?待ち人が多くて、まだ来ないんです。 だから発売順に読みたいと思ってはいるのですが、前後したようです。 登場人物が縦横無尽に横溢しているので?この作家さんの作品は事件通りに読まないとまずいのに…とは思っています。
読み始めた時は舞台が浪速と離れたことからこれなら大丈夫と思ったのですが…。
やっぱり海堂さんで何だ結局はAi 問題に行きつくのか…と、呆れて、いえ、感心してしまいました。
先生の執着と熱意は本当にひしひし伝わってきます。 医者としての最終目的なんでしょうね。 そう彦根先生とダブっている?
でも、面白く読んでいても私には今一つAiセンターによる死因究明制度を土台にした予防医学の実現というビジョンまでは、ひいては医療立国という到達点まではなんとなくわかる気がするのだけれど、「医療による司法制御」あたりで「ウン?」とあいまいになって、Aiが司法に取り込まれることの恐れが分からない。 私の政治音痴によるものなのかもなぁ…と?
しかしそれをほっぽっておいてもこの作品は面白く読ませる。
特に1部のキャメルは少々型にはまっっている気配はあるけれども菊間家の在り様に好感が持てて(だってお隣にこんな先生が居たんだもの、子供の頃)、厚生省の封じ込め作戦の裏のミステリーが分り易く面白い。
喜国さんと毛利君のコンビも、第2部の検察三銃士も劇画的に過ぎるきらいはあっても作品の進行速度と足並みが小気味よく読める。
そして最後。 どう転んだってそりゃあの元知事、の市長さんでしょ? 危ないなぁ…わくわくしちゃう。 別に応援していないし、眉唾でいても、「ちょっと興味をそそられるよね、行く末」と、思っているんだから。
そんなわけでいつもながらの二つ名の登場人物に引きずり回されて、楽しみました。
お役人たちってやっぱそう見えるよね、みんなそう思っているんだ、で、その通りなんだって思いながら?

Design by j david macor.com.Original WP Theme & Icons by N.Design Studio
Entries RSS Comments RSS ログイン