いつか見た人
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香取俊介著
新聞の書評でかなり以前「銀座線がモチーフだ」と読んだのを思い出して…というのは、伊集院静の「浅草の女」というのを図書館の本棚で見つけて…この作家読みたいと思ったことはないけれど浅草に惹かれて借りてきた。 それで、外から見ると浅草って色っぽさがあるのかなぁ…なんて思ったのだけど、不意にこの作品のことを思い出した。 銀座線なら…浅草よね?っていうのが私の基本?
銀座線の駅を順番に舞台の一部にした短編群だった。だから駅数と同じ…じゃなくて12の短編。 省かれた駅の可哀そうなこと、理不尽だ!って、気分は悪い。 でもこの短編…ほとんど気分が悪い。 何で?だってこの路線私には幼少から青春時代までの路線だったけれど…この作家の作品は…老残! いや熟年を扱ったものが多いのだけど…うらびれている…という感じが強い。 確かに銀座線は古くて…小さくて…暗くて…汚いよ…今では。 でも地表に近くて階段は少ないし…昔の、昭和の風情をせっかく色濃く残しているんだよ。 何でセピア色が勝った、懐かしさがやさしい、もう少し情緒がきれいな物語を紡げなかったんかねぇ…とタメ息が出る。悪い話はないのだけど…なんだか忘れるのがいいような…忘れるべきだよってお話が…ちょっとねぇ。それに男と女の関係で終始するっていうのも嫌だ。勝手なこっちの思いで作家には迷惑な話だね。
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