コロヨシ!

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コロヨシ!! コロヨシ!!
三崎 亜記角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-27
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三崎亜記著

三崎さんの作品を読んできているが・・・これにはちょっと肩透かしを食わされた・・・というか、意表を突かれたといったほうがいいだろうか? 確かに三崎さん独特の今では見知った世界ではあるのだし、例えば「この町の地図を」と言われれば、あそこに港があって・・・居留地が・・・と、おもいっきり漠然ではあっても思い浮かべられるような世界でまたもや物語りは進んでいく。・・・のだが?
そして掃除というスポーツに驚かされ、それは一体どんなスポーツだろうと・・・心躍らされたのだが。 実際描写される掃除というスポーツは目くるめくスピードと形態と競技という姿とを持っているらしいのだが・・・その実態は海の向こうの漠然とある居留地くらいにも絵に描き難い。
ただこれを他の高校に部活のあるスポーツに入れ替えてしまえば・・・その世界はたちまち平板に、もっともよくあるスポーツ物の王道にポタッと落ちてしまう。他のスポーツよりただただ鮮やか過ぎるめくるめく華やかさと異国っぽさをを持っているだけで? 
でもそれではこの小説は楽しめない。 スポーツものにしてしまうと部活の先輩後輩、切磋琢磨する競いあうよき仲間達、意外なライバル、ほとんど漫画のスポーツ根性ものに堕してしまう。
いや国技だったのだ? 活動制限スポーツなのだ。そこに謎があり、見せ場がいや聞かせ場があるはずなのだが・・・? そしてそこが三崎さんの世界のはずだ。
だから多分この小説はいかに競技としての掃除を表現できるか?にかかっていたのではないかと思う。今まで読んだこの作者の世界の中では世界が若すぎたのかもしれない・・・それがちょっと私の感興の今ひとつ盛り上がらなかった所以ではないか・・・と思っている。
しかしこの作家の作品らしく?気持ちの良い世界ではあるのだ。
でも不思議も驚きも意外も新鮮な物はあまり感じられなくて、ちょっと寂しかったかな?

岡本かの子全集

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岡本かの子著

先生が以前ラジオで岡本かの子の朗読をなさったことがあって、その朗読を聴いていた。 聞いて、その世界を垣間見た?のではあるけれど、実際手にとって読んでみようとは思わなかった。
ちょっとばかり重苦しいし、じっとりと絡みつくような湿っぽい情緒がご遠慮申し上げたい!という気にさせたのだろう。 耳から入ってくるその世界は少々異界の気味があって、現在を暢気に生きている私には理解が難しいだろうと思われたこともある。
それなのに、私の課題に「何か一つかの子さんの作品に挑戦してみろ」・・・と、まぁけしかけられたのだ・・・ろう?
それでとうとう手にとることになったのだが・・・この一冊を読み終わる頃には、私はすっかりイメージを入れ替えることになった。
古臭い情緒のように思われていたものの奥に、思わぬ柔らかい・・・確かに湿っぽくはあるのだが、女なら何処かに抱いている、思いがけなくも自分の底からひっぱり上げられる、そう忘れていたような意識していなかったような感覚を思い出させられた・・・といった風だろうか。 好きではないし、分かったともいいたくないのだけれども、それでも・・・本当は私もこの世界知っている・・・というような。
そしてその中の美しさをも確実に読んでいる私は感じているのだということも白状しなくてはならないだろう・・・と、思う。
描き出そうとした世界は確実に受け取ったという気すらする。
表現できるとは思わないながらも、共感とか同感とはずーっと遠いながらも、心当たりのあるこの世界を暫くさ迷ってみようかな?と・・・私はとりあえず?課題を「家霊」にすることにした。 母から娘へ譲り渡される情念の呪縛みたいな物を、そこに絡む意志や諦念や糾える様々な柵や運命や・・・怖い世界ではあるけれど・・・とまだ思いながらも。

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