しゃばけ

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しゃばけ (新潮文庫) しゃばけ (新潮文庫)
畠中 恵

新潮社 2004-03
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畠中恵著

和製ファンタジーです。一寸ファンタジー漬けの日々ですが。友人のお嬢さんのエンターテインメント大賞受賞で思い出しました。
そういえばファンタジーノベルー大賞とか言うのもありましたよね?と。ファンタジー好きなのに何でこれに眼を向けなかったんだ?です。
それで検索してみましたら、「後宮小説」が第一回受賞作でした。この作品はスキーで肉離れをして閉じこもっていた時に子供から送り届けられた大量の本の中にあったので、この賞の受賞作とは知らずに読んで正直好きになれなかったのです。それに受賞者(+候補者)で名を知っているのは恩田陸さんと山之口洋さんと畠中恵さんだけという心もとなさ?そういえば山之口さんの「天平冥所図会」、あれもファンタジーでした。
なお調べれば?畠中さんは時代小説がかなり!これは挑戦でしょ?
で、「しゃばけ(娑婆気)」を借りてきました。お江戸が夜はまだ夜だった頃のお話です。今これを入れている私の窓の外はレインボーブリッジとお台場の観覧車が光り輝いていて、夜は明るく美しいといっていいでしょう。お江戸は遠くなりました。大体その頃はここはまだ海に中ですよ。余談が長くなりました。
私にとって本を読む楽しみはどうやら時代物歴史物の中にこそ・・・ということを又確認したみたいです。続編があるらしいのでそれを読んでから大ファンよ!と言わなくてはなりませんよね。でもこの作品で大好きになりそうな予感です。お江戸の妖といえば宮部さんの作品群を直ぐ思い出しますが、ここには又なんとも可愛い妖怪たちがいっぱい登場します。お江戸の暗がりから生まれでてくるような妖と付喪神たちが一寸人間とはずれ感覚ながら日常に当たり前のように居るのです。それが楽しいファンタジー世界を構成しているのですが、当然妖怪には妖怪然としたものも居ると言うわけで・・・!この物語で哀れだったのは100年近くも人間に大事に使われて付喪神になる寸前で壊されて神になりそこなった墨壷です。
まだ十分使えるのに飽きたから、邪魔になったからと捨て去ってしまった沢山の物たちの事をいやでも思わずにはいられません。
勿論昔は修繕できたものが今では余りにも複雑になりすぎてどうにも直して使えない沢山の物たちはそれ以前、最も哀れな道具のように思えました。今私たちが使っているのは今こうして使っているPCなどは神になる可能性(希望)の欠片も持たずに生まれてきた道具です。そう思うと今の東京の潤いの無さ、道具たちの希望がなくなったとき人の心も又日本人本来が持っていた柔らかな感謝の念を忘れた無味乾燥したものになったのかもしれないと思わされてしまいました。お道具お道具、一つに一つの神を見ていた心も夜の闇ももう戻ってくることはないんだなぁ・・・とこの妙に懐かしさを感じさせられる物語にため息をついてしまいました。
一つの付喪神になりそこなったお道具の怨念がこんなにも人を殺す事件になったわけですが・・・我が家には百年も使い続けているような品物ははなっからありません。戦災で完全に焼けてしまったからですが・・・あれから六十数年、子供たちに譲り渡して大事に未来に受け継いでもらいたいと思うようなものもないようです。悲しい現実!
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陰日向に咲く

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陰日向に咲く 陰日向に咲く
劇団ひとり

幻冬舎 2006-01
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劇団ひとり著

面白い名ですね。題も著者名も。
そういえばこの作者の方私は映画で知りました。
「10人ものキャラクターを演じる一人芝居で注目される」と著者紹介にありましたが、その本職を残念ながらまだ見たことは有りません。
そうか、そういう仕事をしている人だったのか・・・、それで、まじめに人を観察してキャラクターを練り上げる作業がきっとそのままこの本に結実したのでしょうね。
私から見るとふつうにあるとは思えない登場人物たちですが、さらさらとした書き様と淡々とした描写に、読んでいると実際今なら現実にその辺に居る人なんだろうな・・・なんて思えます。
モーゼが?ミャーコが?まさかぁ・・・なんて思っているうちに輪が一回りしてああそうか!と思った途端彼らは皆当たり前の顔をして私の世間にも住み着いてしまったような感じです。
妙にそれが皆まじめな顔をして居座っているんですね。
こんなの良くあるパターンだよ。「パルプフィクションとかさっ!」なんてつぶやいてもても「・・・えっとほらあの・・・」ともどかしい思いをしても。
一つの駅から一つの線路が伸びていってね、他の駅からも他の路線が伸びていってね、それが終点で合うのよ。そんでね又他の駅から出た路線がね、前の路線とどこかの駅で交差するのね・・・っていうようなのさ・・・」なんて自分に説明したりしてみたり。
私だったり、俺だったり、僕だったりする、各章の語り手たちは何の衒いも無く自分を語る。それが余りにあほな人生なのに・・・と、まじめな私はふと思ってしまったりもするのに・・・妙にじわ~んとした気分の中に居る。彼らを別に応援しようとかお説教しようとか何とかしてあげたいとか言う気分も全くないじゃないけれど・・・でもいいんだ!と、思っている?
そうだね!そうだね!確かにかげひなたなく彼らは彼らでそれぞれに生きているんだね。
なんだ、とってもいい題だったんじゃないの!

図書館に予約してほぼ1年くらい待ったと思います。
読み終わった途端映画化の話を聞きました。
劇団ひとりさんは出演するのかな?するとすればあの役だ!
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