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薬丸 岳徳間書店 2011-09-28
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薬丸岳著

薬丸さん5冊目になりますか。 長編。
今度は犯罪者の立場での?作品でした。 特に前半。 新聞を読んでいるといやでもこういう若者のニュース出てきますよ。 名義まで売るようになる…悪事と承知で出し子になる…そんな転落の奇跡です。  こういう若者がこういう風に落とし穴に落ちていくのか…いかにも簡単に?
簡単…って!本当に簡単…気が付いたときはしゃぶりつくされて…犯罪者としてしか生きる道はなくなっている。
そうか新聞のニュースなどで読む詐欺師集団の捕まったお兄ちゃんたちはこういう風に…そうか、まさにまっさかさまに…なんだ。
わたしにはどうして?という気持ちがずーっとあったんです。 どうしてそこに行く途中で踏ん張れるところはなかったのか、引っかかりになってくれる人はいなかったのか? どうしてそこまで行ってしまったんだろう?
それがふっと…ああこんな風に…可哀そうに…怖いなぁ…。 いつもながらの薬丸さんの世界と言ってしまえばそうなんでしょうね。 今現在の社会の生み出しているもの…不安で落とし穴だらけで…一生懸命まじめにやれば…が、通じない世界。
絆は切れやすく、結びにくい世界。大体繋がれるところってあるのか?の世界。  こうして突き詰めていく勇気と知能があるんだったら、そこまで行く間に…もっと利口だったらよかったのに…なんて思うのはそれこそ心無い他人のセリフですよね。
家族が…出来る事ってこんなにも少ないのか。 母親ができることってこんなにもわずかなのか?  最後の最後にちょっとほっとさせてもらえて…でもいつからこんなに社会は冷えちゃったのでしょう。 昔はこうじゃなかったですよね?そうですよね?不安に駆られていますが。