龍神の雨 龍神の雨
道尾 秀介新潮社 2009-05
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道尾秀介著

道尾さんの6冊目
この本も夢中で読ませる本だった!
雨の音と龍神に思える黒い雲が今年は例年以上に多くて、この本を読むにはぴったりな気候だったよ・・・(読んだのは6月)
「シャドウ」よりすきだけど「カラスの親指」とはどうかな?
「カラス・・」のほうがまだもう少し好きかも。
二組の兄弟 継父と暮す兄と妹、継母と暮す兄弟、この二組の子供たちの心が切なすぎて・・・読んでいるうちはやりきれないのに・・・それでも・・・そう・・・心配で心配で読み急いでしまう。 傷ついていない人は居ないけれど、この子達の人生の設定はあまりといえばあまりだと作家に対して理不尽にも怒っている。 だからその償いはきっちりしてもらわなければ!・・・そんな思いで読み急いでしまう。
兄は妹を思い、妹を守り、妹だけは幸せにとせつなく人生を綱渡り、弟は兄の心を計り推し量り慮りその心を心としながらその心を何とかしたいと見つめ続け・・・そしてその妹も兄もまた・・・
このシチュエーションだけで作家に怒りが湧くほど・・・切ない。
そしてその継父と継母の最後に見えてくる心の情景も・・・人は善でも悪でもあって、その多面的な心のひだが揺れている時にああいう真の悪に魅入られてしまうのかも・・・頷いている自分に嫌気が差す。
それでもどこでどんな悪につまずくか分からない社会に生きているのだから・・・この話はリアルにリアルすぎて・・・迫ってくる。
幼い二人の兄弟がきわどくすり抜けられた人生の罠に、落ちてしまった年長のあの二人を救えるのは何だろう? そんなものはあるのだろうか?いるのだろうか?
いやそもそも抜けられたのだろうか? あの母はまだ保っているだろうか? 
母でもある私はこの母がどんな場所に危うくいるかを恐れている。でもそれ以上に母も父も居なくなった二人の兄妹の人生を思わずには居られない。あの後の二人を追いかけている目を私はもてあましている。